小倉で観た ガラスの仮面
(その1)
わたしの捻挫は 一ヶ月で治ると思っていたが
三ヶ月が過ぎて とうとう秋を迎えた
秋といえば芸術・・・
演劇でも見ようかと
北九州芸術劇場の
蜷川幸雄演出「ガラスの仮面」を
観に行った
新幹線小倉駅を下りると
小倉の街はとてもおしゃれになっていた
はて 二十年前に乗ったモノレールはどこかな?
広島にはまだ アストラムラインが通っていなくて
物珍しさと 暇つぶしに
連れ合いが乗ったのだが
その頃確か アーケードの辺りに 始発駅があった
アーケード商店街は 銀天街といって
当時 買い物といえば 銀天街だと聞いて行ってみた
いろいろな商店があり 賑やかだった
親しみ易く どこか歴史の芳香のようなものが 流れていた
私は靴屋で山積の中から ビールのBudweiserの
マークが付いた スポーツシューズを買った
日本で最初の都市モノレールは
当時の街の色合いとは 少し浮いた感じがしたが
広島電鉄の電車しか知らない者にとっては
少々羨ましかった
いまでは駅前には ビルが立ち並び
違和感はまったく無い
しかも モノレールは 新幹線小倉駅にまで直結している
かつての 何でも揃う銀天街通りは
今は 明るいタイルが敷かれ
どこでも見られる 全国チェーンの店があり
多くの若者が歩いていた
お洒落な街は 明るくて軽快だが
どこか乾いた感じがする
時代の流れなのか
人の肌を感じる 落ち着いた色合いの街は
ここでも 無くなってしまった
しばらく広い通りを行くと 紫川に出た
目指す北九州芸術劇場は目の前の黒いビルだ
(その2)
蜷川幸雄演劇は 二度目だが
この度の 「ガラスの仮面」にも
また ビックリさせられた
ガラスの仮面は 20年続いている漫画で
漫画がミュージカルになっていて
出演者は夏木マリ
それだけの資料を頭に入れて
開演20分前の座席についた
座席は 1階ほぼ中央 中央通路側より続けて2席
通路を出演者が通るとの 放送があった
既に舞台では 客席と同じ明るさの照明で
裏方や その他大勢の出演者が 掃除や準備運動をしている
見ているこちらは
「エーッ、未だ始まっていないのなら
幕を下ろした内側で やれば!」
見に来る 出し物を間違えたかな
と思いながら見ていると
すぐ脇の通路を
手荷物を持ったおにいちゃんが 通って行き
座席につくのかと思いきや 真っ直ぐそのまま
舞台に上がって行く
だれかに ヤァ と挨拶をすると
他の皆と同じように
その他大勢になってしまう
出演者が 会場に入ってくる観客と混じっているので
見ているこっちは
あれは一般客 次のはその他大勢かな と
当たったり 外れたりと
勝手に 賭け気分だ
その内 こちらの賭けは置き去りになり
だんだんと舞台はまとまって行く
あのバラバラに 舞台に上がっていた
いろんな格好の人たちが
一斉に声を合わせ 歌い 踊り出だす
まるでミュージカル「コーラスライン」だ
アー、 やっぱりこれは 蜷川演劇だ
筋書きは 元 大女優の後継ぎをめぐっての
新人女優 2人の物語
内容は単純明快で分かり易い
出演者は 主役 端役
どの俳優も見劣りしない
自分の役割をしっかり務めている
蜷川演劇に出演しているという自負心なのか
誰一人 不十分さをこちらに感じさせない
雨の場面の降る雨は大量で
見ている側が心配してしまうくらいだった
しかも一場面や二場面ではなかった
降らせた雨はどこに流れるのか
回り舞台に水が流れ込まないのか
前列のお客さんの
服や顔に罹ってかってしまうのでは と
兎に角 半端では終わらせない舞台でした
観客席を巻き込んでの演出は
見ている側も充実感一杯で
最後はスタンディングオベーション
感激の拍手は 当分の間 鳴り止みませんでした
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