念願の祖母山(ソボサン 大分県 1757m)
十年前のこと 百名山に登山したのは 大山だけだった頃のこと
祖母山に登りに行こうということになった
車で出発したのが よりにもよって入梅の日だった
降りだした雨の量が 車のワイパーが間に合わない位だった
登山はトーゼン取り止め
その晩は高千穂で夜神楽を観た
それで・・・十年後のリベンジ!
祖母山の由来は
神武天皇のおばあさま 豊玉姫(トヨタマヒメ)が頂上に祀られていることから
名づけられたと言う
6:00am
"ほしこがinn尾平” 出発
黒金尾根コースを登る まだ日が昇っていない
駐車場で車中泊している 山口の宇部から来た夫婦も 同じく祖母山へ
私たちの前を歩いて行く
川を右に見ながら 一つ目のつり橋は下をくぐり 二つ目を渡る頃から
この登山道は天然の道で あまり手が加えられていないことが分ってきだした
そうとなれば 分かれ道など 気を入れて行かなければいけない
登山口から一時間半
沢を離れて急登を登りだす
尾根の"天狗岩”の下まで来ると"天狗の水場”がある
水を汲んで行く 飲んでみた 美味しい水だ
さらに登っていくと展望台が4ヶ所あらわれる
天狗別れと 裏谷岩鼻の展望は 紅葉が絶壁の足元から広がり すばらしかった
もう一息で頂上かと思いきや ハシゴが現れた アルミのハシゴを登ると
今度はハシゴと岩 それから 岩だけと だんだんと難度が上がっていく
そして頂上直下 最大の難所の岩が現れた
足が短い者には 足場となる岩の窪みに 靴が届かない
このコースは 降りるには向いていないと書いてあったが ナルホド 納得した
へばりついて やっとのことで登った
岩場が終わって 躍り出たところが頂上だった
頂上は少し開けて平らだ
豊玉姫(トヨタマヒメ)の祠がある
良い天気なのに 霞んでいるので眺望はない
周りの山は "大障子岩”が見えて 遠くにうっすらと”傾山”が見えた
他の山名はよく解らない
先ほどの夫婦がすでに登っていて おべんとうを食べている
昨日のこと 我々が祖母山に登ると聞いて「スゴイ スゴイ」と言っていたのだが
我々の年恰好と比べたら "ちから”が湧いてきたのか(7,8歳若めだ)
それまで予定していた"古祖母”登山(往復3時間半)をこちらに切り替えたのだ
・・・登山力は 実年齢ではナイノダヨー・・・
とは言うものの その夫婦 また元気に先に降りて行った
下りは 宮原・尾平コース
九合目小屋の下あたりは紅葉がきれいだった
殊に つつじの 細やかな葉が紅に染まり 黒い岩にいろどりを添えていた
降りるにつれ 紅葉は 紅からオレンジ 金色から黄色そして淡いグリーンに
風に揺れるミドリの楓の林は 静かに時を待っているかのようだった
2:30pm
登山口に下山
宿に帰ると 本日は休館日となっていて「屋外のシャワーを お使いください」と張り紙がしてあった
五右衛門風呂の隣にあるシャワーを使わせてもらい さっぱりした
ほんとうに助かった
それからコーヒーを沸かし 静かな"校舎"をゆっくりと眺めた
4:00pm
日が傾きかけた"ほしこがinn尾平”を後にした
この度の宿にした"ほしこがinn尾平”は
かって 尾平鉱山が栄えていた頃(人口3000人)の校舎を 宿泊施設にしたものだ
ヨーロッパのリゾート地を思わせる オシャレで立派な木造建築だ
これが40年前に 廃校になった小・中学校の校舎だったとは
有名な建築家がデザインしたものだろうか
さすが三菱財閥と思わせる
白の漆喰に こげ茶色の木のコントラストがいい
中に入ると 木部はすべて無垢だ
木の暖かさと重厚さとが 気持ちを落ち着かせる
昔 自分たちが通った木造校舎は これよりも ずっと粗末な建物だったが 階段のてすり等 懐かしい
男子はみんな これをまたいで 滑って降りたものだ
校舎で学んだ最後の卒業生は もう五十歳半ばになっているはず
この場所は良くも悪くも 自分の歴史の原点に帰れる所ではないだろうか
宿の応対は 爽やかで親切
食事もたっぷりで 鳥肉がとくに美味しかった
部屋はもとの教室を改造し 広々とした洋風の造りに
畳が一段高くしてある
清潔で インテリアと照明が工夫されているのか ホテルのようだ
部屋から廊下に出ると モダンジャズが小さな音色で 流れている
その空間で音色にひたると 私たちも少しオシャレな自分になったような気がした
(写真 クリックで拡大)
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